The Basic Techniques of Clay Modeling
中川 七三一 著
制作現場でデジタル化が進行するほどに、学生のうちに発想力・表現力・造形力をしっかりと身につけることが、いっそう重要になってきます。
プロダクトデザインの最終目的は、手でさわれる立体物です。かたちを発想したり、表現したり、造形を練るうえでも、学生自身が立体を手でさわりながら考えることが、非常に強力な方法なのです。CADデザイン上でいくら美しい3Dで映し出したとしても、画面自体は二次元です。立体の持っているたたずまいや、面の動き(ムーブマン)、量感(マッス)は、それをリアルな立体に置き換えて、はじめて感じられるものです。
立体を学ぶには、理論だけでなく実際に手を動かし、自分でデザインを練っていくことが欠かせません。立体で確認してデザインをいじったり、図面で考えて立体を直したり、平面と立体を行き来しながらデザインを仕上げていく作業は、実際の現場とまったく同じプロセスです。このくりかえしで確実にデザイン力が身につきます。そしてこの造形力・表現力はどんなツールを使うときも学生自身の基礎をささえる力になります。
本書は、試行錯誤をしながらかたちをつくるのに最適な素材“インダストリアルクレイ”を使用した、クレイモデル造形の基礎と手順を、わかりやすくまとめた一冊です。トヨタ自動車にて四十年間一貫してモデルづくりに携わった著者が、ステップバイステップ形式で解説しているので、本書をひととおり学習することで「立体構築の理論」と「クレイモデル造形の基本的なスキル」を、バランスよく身につけることができます。
著者紹介
中川 七三一(なかがわ なみいち)
1965年トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車株式会社)に入社。第一技術部デザイン課モデル係配属。1975年アメリカCALTY社(トヨタ自動車がアメリカに設立したデザインスタジオ)に出向し、トヨタ・セリカやトヨタ・ハイラックスのモデル造形を手掛ける。その後も数多くのクリエイティブな造形を担当し、第一線のモデラーとして活躍。
1984年よりクレイモデル製作に加え、CADや測定などのデジタルの職域まで幅広く関わり、1997年よりトヨタ自動車のモデル造形全体を管理統括する役職に就任。モデラーの職務領域、組織を拡大する。
2001年 JCMA(Japan Car Modeler Association)会長に就任、2005年よりクレイモデルエキジビジョン実行委員長として活躍。40年間一貫してモデルづくりに携わったトヨタ自動車を2008年3月退社。株式会社日南取締役を経て、2010年4月広くモデル造形に対する理解と関心を高め、産業の発展やものづくりの振興に貢献する「日本産業モデル造形振興会」会長に就任。現在に至る。
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