ドイツでは「バウハウス」が創設された年、創業者 石井そよ は渋谷区に画材店「いづみや」を開店しました。関東大震災から徐々に戦争へ向かう不安な社会情勢の中、当時、芸術家のアトリエ村があった池袋に場所を移し、貧乏ながらも芸術活動に精を出す画家たちに画材を提供し続け、店は次第に彼らの“たまり場”となっていきました。戦後営業を再開、物資の少なかった時代に各方面から画材をかき集め、紙の輸入がまだ認められていなかった昭和23年、通産省に掛け合い、フランスのキャンソン社の木炭紙を輸入することに成功、美大生や画家のタマゴたちに提供したこともありました。
「日本のたばこ『ピース』の新しいパッケージデザインに、アメリカの『ラッキーストライク』を手がけた世界的なデザイナー、レイモンド・ローウィーが起用され、150万円(当時では破格、現在に換算すると1億円以上)のデザイン料が支払われる」という記事が新聞に掲載されました。この事実に着目し、「これからはデザインの時代が来る」という展望のもと、海外のデザインツールを研究し、輸入・開発・外販営業を開始しました。「海外の新しいツールや材料を輸入し、セミナーなどを通じてその使い方や表現方法・テクニックを、日本のデザイン界に伝承していく」というスタイルが、このころできあがりました。
三菱自動車(新三菱重工:当時)が、GM(ゼネラル・モーターズ)デザイナー、ハンス・ブレッツナー氏を招聘。
当時のモデルには彫塑用のクレイが使われており、形が確認できればよい程度の扱いが常識でした。ブレッツナー氏は数々のデザイン手法を指導し、シャバント社のインダストリアルクレイを導入。クレイモデルの完成度を上げると同時に、きちんと塗装してプレゼンテーションする大切さを教えました。
この事実に着目し、シャバント社とインダストリアルクレイの極東総代理店として契約。輸入販売を開始しました。株式会社いづみや(当時)とインダストリアルクレイのはじまりです。
シャバント社と株式会社いづみや(当時)が、デトロイトの著名なモデラーであるロン・マーティン氏をモデリングセミナーの講師として招聘。
東京・名古屋・大阪・広島などでクレイモデリングセミナーを開催しました。このクレイモデリングセミナーでは、スケールモデルからフルスケールモデル(1/1サイズ)完成迄のクレイモデリングシステムを紹介しました。以来、日本のクレイモデリング技術は急速に発達しました。
シャバント社からライセンス取得した、インダストリアルクレイJ-525を、日本ではじめて製造。
仕上げ面がきめ細かく、粘着力、硬度、切削性、使用温度、温度差による膨張や収縮がほとんどないインダストリアルクレイが製造されました。各自動車メーカーそれぞれのモデリング手法に合わせた軟らかさ、粘り、色味など、さまざまな仕様のインダストリアルクレイへと変化していました。
クレイモデルの表面に貼るために開発されたオリジナル専用フィルムを、日本ではじめて製造。
適度な伸びを有するために2次曲面のみならず、3次曲面などにも追従して貼ることが可能なフィルムです。クレイモデルに直接塗装するのに比べ、着色する時間が大幅に短縮されました。貼り込み位置の微調整が簡単で、仕上がりはとても美しく、モデル面を痛めることもなくスムースにはがすことができます。現在では世界中の自動車メーカー・モデルスタジオで使用されています。
コピー機がデザインで使われるようになった時代の求めに応じて登場してきたのが“トナーを溶かさないマーカー”「コピック」。コピー機で出力したものに着色する、というコンセプトで登場した製品でした。その後、色数やバリエーションも増え、グッドデザイン賞も受賞、現在世界48ヵ国以上の方々に愛用されているロングライフデザイン製品に成長しています。「コピック」は、プロダクトデザイナーやカーデザイナーに、欠かせない存在になっています。
「株式会社いづみや」は「株式会社Too」に社名変更。過去に培った実績やノウハウを生かしつつ、移り変わる時代のニーズにお応えしていくステップとして、新しいスタートを切りました。
クレイモデル表面の歪みをチェックするために使用するアルミホイルです。簡易的にメッキパーツの代替擬装などにも使うことができます。
株式会社Tooから、デザイン材料、画材、学校教材、クレイ、モデリング材料機器などを販売する部門を統合し「株式会社トゥールズ」分社。
各自動車メーカーの求める仕様に合わせて、柔らかさ・伸び・粘り・色味・そしてフィーリングなどを、成分の比率を変えるなどによりカスタマイズして提供しております。クレイはフィーリングが最も重要です。モデルの最終仕上げでは0.1mm単位で削ったり盛ったりするからです。そのため完成度の高さと安定性が常に要求されています。フィーリングの安定性加えて、自動車メーカーより環境対応が強く求められるようになりました。クレイはそのフィーリング安定のために硫黄が使用されていました。環境対応とフィーリングの安定。その相反する2点をクリアするため、原材料を根本から見直し、数百種類にもおよぶ原材料の調合を試し、その都度モデラーにフィーリングを確認し、試作を繰り返しました。そしてようやく硫黄なしクレイNSシリーズが生まれ、現在では世界中の自動車メーカー・モデルスタジオで使用されています。
インダストリアルクレイ専用のウォーマー。最大収容15本と、スケールモデルを製作するのであれば容量として十分です。
光沢のあるクロームメッキ調のシート、クロームシルバー。ステッカータイプなので、裏面のセパレーターを剥がして貼ることができます。ドアハンドルやメッキモール、各種ボタンなど、メッキパーツ類の擬装作業に使用されています。
クレイシェーパーは、一度使用したインダストリアルクレイを再利用するために、再成形・再脱気する専用の機器です。
株式会社トゥールズから、クレイ、モデリング材料機器を中心とした自動車デザイン分野と学校教材を世界中に販売する部門を統合し「株式会社トゥールズインターナショナル」分社。
モデル制作に必要な機能が凝縮されているモデリングテーブルです。スケールモデルに適した25mmピッチで番線がプリントされていますので、簡易的な測定台としてもご利用いただけます。
インダストリアルクレイを使用した、クレイモデル造形の基礎と手順を、わかりやすくまとめた一冊です。トヨタ自動車にて四十年間一貫してモデルづくりに携わった 中川七三一 氏が、ステップバイステップ形式で解説。「立体構築の理論」と「クレイモデル造形の基本的なスキル」を、バランスよく身につけることができます。
業務用の棒形状インダストリアルクレイを、より早く簡単に温められるように8つに輪切りをした真空パック形状のインダストリアルクレイです。
試行錯誤をしながらかたちをつくるのに最適な素材インダストリアルクレイ。クレイモデル造形の基礎と手順を、わかりやすく体験していただくために。日本を代表する自動車メーカーのモデルづくりに携わった、日本産業モデル造形振興会のプロのクレイモデラーが、講師としてハンズオン形式で指導をしました。現在では毎年開催されており、受講された学生が自動車メーカーに就職する実績もでています。また、東京モーターショー 未来のカーデザイナーを育てるブース“カーデザインパーク”にて、プロのクレイモデラーに教えてもらいながら、親子で楽しくオリジナルのカーモデル作りを体験していただきました。